ハヤシライスって、一見「洋食」のようで、実は日本で生まれた料理なんです。
柔らかく煮込んだ牛肉と玉ねぎが、濃厚なデミグラスソースやトマトソースと絡み合い、ご飯にたっぷりとかかってる。
あの味は、どこか懐かしい気持ちになりますよね。
それにしても、「ハヤシライス」の「ハヤシ」って、どうしてこんな名前なのか気になりませんか?
実は、この名前にはいくつかの由来があります。
今回は、信憑性が高い説から順番に、ハヤシライスの名前の由来をわかりやすく解説します。
読み終わったら、きっと誰かに教えたくなるはず。
それでは、一緒にハヤシライスの歴史を探してみよう!
1.「ハヤシライス」林さん説(信憑性:高い)
ハヤシライスの名前の由来として最も信憑性が高いとされるのが、「林さん」という人物にちなんだ説です。
明治時代に東京・上野の老舗洋食店「精養軒」の料理人、または神戸の料理人であった林さんが考案した料理だとされています。
牛肉と玉ねぎをデミグラスソースで煮込んだ料理を賄いとして出していたのが始まりで、それが評判を呼び、後に「林さんのライス」=「ハヤシライス」として広まっています。
「林さん説」の信憑性が高い理由
・上野の精養軒は明治時代の洋食の中心地であり、新しい料理の発祥の地となることが多かった。
・「林さん」という実在の人物が関与している可能性が高く、当時の洋食店文化と合致している。
2.「ハヤシライス」早矢仕有的(はやしゆうてき)説(信憑性:中程度)
ハヤシライスの名前が、大手書店「丸善」の創業者である早矢仕有的(はやしゆうてき)氏に由来するという説です。
早矢仕氏が、西洋料理を日本人に紹介する際に、肉と野菜の煮込み料理をご飯にかけて提供し、それが「早矢仕ライス」と呼ばれたのが始まりというもの。
名前であったことから、この料理が「ハヤシライス」と呼ばれるように。
早矢仕有的(はやしゆうてき)説の信憑性について
・早矢仕有的は、当時の日本に洋食を普及させた立役者の一人であることは事実です。
・ただ、「早矢仕ライス」と呼ばれた記録はあまり多くなく、この説が信憑性の高い「林さん説」と比較すると、証拠がいまひとつ少ないですね。
3.「ハヤシライス」日本語「ハッシュドビーフ」説(信憑性:中程度)
ハヤシライスが英語の「ハッシュドビーフ」(細切れ牛肉の煮込み)に由来しているという説です。
明治時代、西洋料理が日本に広まる中で「ハッシュドビーフ」という料理が伝わり、それをもとに日本独自に改良された料理が「ハヤシライス」と呼ばれるようになったという説。
「ハッシュドビーフ」が「ハヤシライス」に訛ったと考えられています。
「ハッシュドビーフ」説の信憑性について
・西洋料理が日本の洋食文化に影響を与えるのは事実であり、料理名が訛った可能性はあります。
しかし、「ハッシュドビーフ」を「ハヤシライス」と呼ぶ文化的背景は明確ではなく、証拠としてはやや弱いとされています。
気持ちは分かりますが、ちょっと無理やり感が否めませんね。
4.「ハヤシライス」林学生説(信憑性:やや低い)
神戸市内の大学の「林」、という名前の学生にちなんで考えられたという説。
明治時代、神戸の外国人居留地で働いていた料理人が、林という名前の学生向けにこの料理を提供したのが始まりとされています。
学生向けに手軽でボリュームのある料理として人気を集めており、「林ライス」から「ハヤシライス」となったものです。
林学生説の信憑性について
・神戸が洋食文化の発展に貢献した土地である点は間違いありません。
・ただ、この説には具体的な記録がなく、他の説に比べて信憑性は低いとされています。
「ハヤシライス」の名前の由来|信憑性まとめ
所説 | 信憑性 | 詳細 |
---|---|---|
林さん説 | ★★★★★ | ・上野精養軒または神戸の料理人・林さんが賄い料理として考案。名前の由来として最も支持されている。 |
早矢仕有説 | ★★★★☆ | ・丸善の創業者・早矢仕有的氏が考案。洋食に貢献した人物として名前が残った可能性。 |
ハッシュドビーフ説 | ★★★☆☆ | ・日本語の「ハッシュドビーフ」に由来する説。 日本語化される「ハヤシ」と呼ばれるようになる。 |
林学生説 | ★★☆☆☆ | ・神戸の学生向けに作られた料理が「林ライス」と呼ばれ、それが「ハヤシライス」になったとする説。 |
この4つの所説の中では、実際に上野精養軒という老舗の洋食店もあり、ハヤシライスを現在でも提供している「林さん説」が最有力の説ではないでしょうか?
では、レトルト食品大手の見解を調べてみましょう。
「レトルトのハヤシライス」を提供してる各メーカーの見解は?
実際に、ハヤシライスをレトルトで販売している食品メーカーなら、真相が明らかになるかもと思い、メーカー側の見解を調べてみました。
◆House ハウス食品
◆S&B エスビー食品
- ハヤシライスの名前の由来を教えてください。
-
諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていません。
1.林さんという人が作った。
2.林さんという人が、毎日やってきて注文した。
3.横浜の林さんが作った。
4.早矢仕さんが、ご飯とおかずが1皿で済む料理として考案し、幕末から明治の始めにかけて社内食堂で出した。
5.牛肉を細切りにした料理を言い表す、「ハッシュ・ド・ビーフ」(ハッシュ=英語で「細切れ」を意味する、ビーフ=牛肉のこと)がなまってハヤシライスとなった。
などといわれています。
◆Glico 江崎グリコ株式会社
- ハッシュドビーフとハヤシライスの違いはなんですか?
-
ハッシュドビーフとハヤシライスの違いは明確ではありません。
ハヤシライスの名前の由来では、早矢仕有的という人が考案したという説や林さんという人が考案した説、ハッシュドビーフ・ウィズ・ライス(Hashed beef with Rice)が縮まって「ハヤシライス」など諸説があるようです。
意外にも、大手各社でも具体的に「この説が正しい」というはっきりとした見解はしていませんでした。
あくまでも諸説ありという見解にとどめています。
他に、大塚食品や明治なども調べてみましたが、ハヤシライスについての見解は見当たりませんでした。
まとめ ハヤシライスの「ハヤシ」の由来
ハヤシライスの名前の由来にはさまざまな説がありますが、最も信憑性が高いのは、上野精養軒または神戸の料理人「林さん説」でした。
この説は、実在する店舗や洋食文化の歴史と深く関係していて、有力な説に思えます。
「早矢仕有的説」や「ハッシュドビーフ説」なども、西洋文化が日本に与えた影響を考慮すると納得できる部分がありますが、明確な文献などがありません。
同じ時代に同時にハヤシライスが生まれていたのかも知れませんね。
この話題を家族や友人と共有しながら、ハヤシライスを味わってみるのもよいでしょう。
ハヤシライスのレトルトカレーについてもっと知りたいと思ったら、こちらの記事もご覧ください。
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