
こんにちは!
小説好きブロガーのAKIRAです。
あなたは社会から許されなくても、ふたりの絆を守りますか?
今回は、ずっと気になっていた 凪良ゆうさんの小説「流浪の月」 を読了したので、感想を紹介します。
映画化もされ、話題になった本作。
期待以上に心に刺さり、読み終わった後もしばらく続く余韻、心をえぐられる作品でした。
ネタバレは極力避けつつ、あらすじや登場人物、心に残ったポイントをまとめます!
著者:「凪良(なぎら)ゆうさん」について
1973年生まれ滋賀県出身。
長くBL作品を中心に活躍し、繊細な心理描写に定評のある作家。
近年は一般文芸にも進出し、『流浪の月』で2020年本屋大賞を受賞。
人と人との間にある“言葉にできない感情の揺らぎ”を描く作風が特徴です。
「流浪の月」ってどんな小説?

物語は、15年前のある夜。
当時10歳だった 家内更紗(かない さらさ) は、家で居場所をなくし、夜の公園で一人過ごしていました。そこへ大学生の 佐伯文(さえき ふみ) が声をかけます。
世間的には「誘拐事件」と報じられた出来事。しかし更紗自身は、文と過ごした数か月間を「救われた時間」と感じる。
その後、二人は保護され、文は逮捕。世間は彼を「加害者」、更紗を「被害者」と断定。その後、偶然再会をしたふたりは…
\【2020年本屋大賞受賞作】/
主な登場人物とあらすじ
家内 更紗(かない さらさ)
- 子どもの頃、誘拐事件の「被害者」として大きく報じられた女性。
- 外では社交的で明るく振る舞うが、心の奥に他人と深く関わることへの恐れや孤独を抱えている。
- 自分の過去を利用する恋人との関係に苦しむ。
佐伯 文(さえき ふみ)
- かつて誘拐事件の「加害者」として逮捕された男性。
- 無口で周囲と距離を置いて生きているが、更紗に対しては特別な思いを抱く。
- 世間の視線を避けるように、静かに暮らしている。
桧村 真(ひむら まこと)
- 更紗の恋人。
- 社交的で好青年に見えるが、更紗に事件当時のことを繰り返し尋ねるなど、彼女を「被害者」という枠に閉じ込める言動が目立つ。
最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。
楽天koboより
すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。
それがどのような結末を迎えるかも知らないままにーー。
だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。
この願いを、きっと誰もが認めないだろう。
周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたいーー。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
本屋大賞受賞作。
「流浪の月」読んでみた感想(ネタバレ最小限)

『流浪の月』は、一言で説明しきれない重く、深い心の闇と葛藤が交差するストーリー。
表面的には「誘拐事件の加害者と被害者が再会する物語」ですが、本当のテーマは「人は誰のために生きるのか」「自由とは何か」だと思います。
更紗は、過去の事件後も「被害者」として周囲に語られ続けます。
職場でも、恋人の桧村との関係でも、彼女の過去は「他人が聞きたがる過去」として捉えられます。
作中には桧村が更紗に
「怖くなかったの?」
「どうして逃げなかったの?」
と繰り返し尋ねる場面があり、更紗が心を消耗していく様子がとてもリアルでした。
そんな更紗が、文と再会する場面。
文は多くを語らず無口ですが、その静かな佇まいが更紗に安心を与えます。
ふたりは恋人でもなく、単なる友人でもない…
けれど確かに、お互いにしか埋められない孤独を抱えている。
その関係性の曖昧さが、本作の大きな魅力だと感じました。
凪良さんの文章は一見淡々としているのに、ふとした瞬間に強い感情が噴き出すような、息を呑むシーンが何度もありました。
印象に残ったフレーズ
「文はわたしにおかしなことなんて何もしなかった」
これは作中、更紗が心の中でつぶやいたフレーズ。
世の中は誘拐事件として捉えており、更紗は傷物にされていたという事実にされています。
しかし、文と更紗の間にはそのようなことは一切無く、更紗は唯一安心して過ごせる文との時間をはかけがえのないものとなります。
世の中との真実のズレは埋まる事は不可能であると、更紗は理解していますが、その疎外感に時折苛まれてしまいます。
「流浪の月」はこんな人におすすめ
- 繊細な人間関係の描写が好きな人
- 「正しさ」や「自由」について深く考えたい人
- 社会と自分との距離に悩んだことがある人
- 映画を観て、原作をより知りたい人
少し重い内容のストーリーですが、本当の愛とは何かということについて綴られています。
2020年本屋大賞にノミネートされた作品ということもあり、人気作品です。
\2020年本屋大賞の作品/
まとめ

『流浪の月』は、単純に「加害者」「被害者」という枠では語れない二人の物語でした。
社会が決める正義と、自分自身だけの真実。
その間に横たわる深い溝を、凪良ゆうさんは繊細かつ容赦なく描いています。
読むのは決して楽ではないですが、人を理解するとは何か、自分にとっての自由とは何かを突きつけられる一冊です。
映画も素晴らしいけれど、小説でしか味わえない微細な心の動きを、ぜひ原作で体験してほしいと思いました。
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